PMP試験で実際に出題された問題の紹介と対策【PMBoK第6版】

PMBOK6th-editionPMP

この記事について

どのような問題が実際に出るのか、傾向と対策を練るのに参考にして頂ければ幸いです。

学習方法

手順1:書籍やe-learing等で学習を進める。

手順2:問題演習(市販の問題やe-learningなどの問題)

手順3:解説を確認

手順4:該当箇所と関連個所をPMBoKで確認

市販の問題を過信するのは危険です。ただPMBoKに記載のないものもありますので、記載されていない問題を見つけた際は、PMBoKに書き込むなどをして、情報を1つに集約することをおすすめします。

傾向と対策

  • どのドキュメントを更新するかを問う問題が大量に出題
  • 変更管理に関する問題多数
  • コンフリクトに関する問題が数問
  • クリティカルパスを計算する2、3問(TCPIを計算させる問題が1つ)
  • ベンダーの納品が遅れるために、スケジュール遅延の発生に関する問題が多数
  • コミュニケーションマネジメント計画書、RACIが選択肢にある問題が多数出題
  • ステークホルダーの特定のツールと技法が全て選択肢となってる問題が1、2問(専門家の判断を選ぶような問題)
  • 終結フェーズでPMが次に何をするかを問う問題4、5問(選択肢:顧客の承認を得る、教訓をまとめる)
  • 品質のコントロールプロセスと品質のマネジメントプロセスの違いに関する問題
  • 品質のコントロールプロセスとスコープの妥当性確認プロセスの違いに関する問題
  • ビジネスケースやベネフィットマネジメント計画書関連を問われる問題が複数

 

PMP試験問題

※下記は、問題は実際の問題文とは異なります。
また選択肢についても、所々欠けているものがありますが、実際は4択です。
解説については、与えられた選択肢であれば【この選択肢】が妥当と予測を立てていますが、ご自身でもPMBoKを参照して、49プロセスのどこに該当しているのかを考えて頂ければと思います。

 

1.予期せぬ事態で1台サーバを用意する必要がある。
(マネジメント予備を使う/コンティンジェンシー計画を検討する/スポンサーに相談/…)

【解説】マネジメント予備については、PMの範疇外のため、スポンサーが管理します。7.3予算の設定のデータ分析 p.252にて、【マネジメント予備を予期せぬ作業として使う場合、マネジメント予備からその額をコストベースラインに追加し、変更の承認を得る必要がある】ことから、上記の選択肢であれば【スポンサーに相談】が妥当かと思います。

2.プロジェクトマネジメント計画書を準備するにあたり、何を参照するか
(組織のプロセス資産/要求事項文書/マイルストーンスケジュール/…)

【解説】組織のプロセス資産には計画書のテンプレートや過去のプロジェクトの情報などが含まれます。上記選択肢であれば、【組織のプロセス資産】かと思います。

3.プロジェクトマネジメント計画書を作成した。次に何をしますか?
(スコープマネジメント計画/WBSの作成/…)

【解説】作業プロセスの順番を問う問題のため、2つの選択肢であれば、【スコープマネジメント計画】かと思います。

4.成果物は完成している。成果物が仕様を満たしているかを確認するために何をする?
スコープの検証/品質管理/顧客の満足度を測定する?/…

【解説】品質のコントロールでは顧客の要求(仕様)を満たしているかを評価するプロセスであり、アウトプットとして検証済み成果物を得るため、【スコープの検証】が妥当かと思います。

5.2人のチームメンバーが対立していたため、PMはメンバーをプロジェクトから外して、新しいメンバーを2人獲得した。この対応策は次のどれ?
(撤退・回避/強制・指示/鎮静・適応/協力・問題解決)

【解説】強制・指示(win-lose)は相手に対して自分の意見を押しつけること。根深いコンフリクトに対して一時的な策として有効とあるため、【強制・指示】になるかと思います。

6.プロジェクトチームは納入者が製品の納品に30日遅れる可能性を特定した。納入者からPMに20日予定より早く納品できると連絡があった。PMは次にどうする?
(課題ログを確認?作成?/リスク登録簿を更新/変更要求を提案/…)

【解説】30日遅れる可能性を特定したことから、11.7リスクの監視プロセスにて新たなリスクを特定したことより、【リスク登録簿を更新】が妥当かと思います。

7.開発が終わり業務チームに引き継ぐ段階で、初期工程の監査報告書がないことに気が付いた。何をするべきですか?
(プロジェクト文章を更新/業務チームに監査報告書なしで受け入れるよう持ちかける/業務チームに監査報告書がないことを報告する/プロジェクトマネジメント計画書の必要文書の記載から監査報告書を削除する)

【解説】本問題は、プロジェクトやフェーズの終結プロセスに関する問題です。p.128上から5行目には以下の記述があります。【プロジェクトの終結時にビジネスニーズが満たされなかった場合は、どの程度達成されたかと、将来のビジネスニーズが満たさせるかの見積を示す】よって、上記4つの選択肢では、【業務チームに監査報告書がないことを報告する】が正解だと思われます。

8.ステークホルダーから新規機能実装の要求がありました。PMは何をすべきでしょうか?
(プロジェクトマネジメント計画書の更新/事前定義の手順通り変更要求を発行/要求事項の再収集/リスク登録簿の更新)

【解説】事前定義の手順通り変更要求を発行で正しいと思います。

9.金融情勢から強い影響を受けるプロジェクトのPMであり、社内で毎日金融情勢に関する情報を入手している。状況が変化が発生したと判断した場合、更新すべきドキュメントは?
(プロジェクトマネジメント計画書/リスク登録簿/RACI /課題ログ)

【解説】リスク登録簿が妥当です。

10.マトリックス型組織であるメンバーの作業が遅延し、スケジュールに大きな影響を与える可能性がでました。そのメンバーはラインマネジャーのチームに所属し、社内の複数プロジェクトに関わっていることをわかりました。PMは何をすべきか?
(メンバーをプロジェクトからはずす/メンバー残業を要求する/ラインマネジャーと打ち合わせを行い、プロジェクトの優先度を協議する/機能部門マネジャーにエスカレーションする)

【解説】本問題は、資源の獲得プロセスのツールと技法の人間関係とチームに関するスキルの交渉が該当すると思います。よって【ラインマネジャーと打ち合わせを行い、プロジェクトの優先度を協議する】が妥当だと思います。

11.社内ボードメンバー会議で勤労部門長が全社勤休管理システムを構築するプロジェクトを提案しました。プロジェクト立ち上げ前に PMO は 何をすべきか?
(プロジェクト予算を確保する/業界市販ソフトで実現できるか調査する/要求事項を収集/資源要求調査をする)

【解説】本問題は、ビジネスケースに関する問題だと思います。プロジェクト始動前には、そもそもプロジェクトの実現可能性を検証する必要があるため、【業界市販ソフトで実現できるか調査する】が正しいと思います。

12.品質管理データに測定結果、管理図の管理上限値範囲内に3点、管理下限範囲値の外に4点あります。どれが正しいでしょうか?
(製品品質は管理範囲内にある/製品品質は管理範囲外にある/仕様限界範囲に近づいている/品質に問題はない)

【解説】p.304 の管理図の箇所にも記載されていますが、管理図とは、【パフォーマンスが管理限界外に留まらないように】という点が前提にあります。従い、【製品品質は管理範囲外にある】が正しいと思います。

13.三年以上続いているプロジェクトで重要な貢献者の一人が退職しました。他に代替できる要員を社内では確保できません。PMは何をすべきか?
(スポンサーに連絡して、代替要員を要求する/リスク登録簿を更新する/プロジェクトマネジメント計画書を更新する/チームメンバーみんなでカバーする)

【解説】どの選択肢が根本的な解決になるかという点、また資源の獲得プロセスのツールと技法の人間関係とチームに関するスキルp.332の観点から考えると、【スポンサーに連絡し、代替要員を要求する】が正しいと思います。

14.CIOが社内要因スキルや経験不足によりプロジェクト品質が顧客要求を満たさないと懸念しております。PMOは品質の外部監査を決定し、PMに監査で聞き取り、ドキュメント提供の協力を依頼しました。PMOは何のドキュメントを入手すべきか?
(プロジェクト・スコープ記述書/作業パフォーマンスデータ/品質報告書/プロジェクト文書)

【解説】本問題は、品質のマネジメントプロセスが該当します。よって【品質報告書】が正しいと思います。

15.プロジェクト進捗情報を、 PMIS を使って掲示板に月1回アップロードすることを決めました。どのコミュニケーション手法でしょうか?
(対話/社内イントラネット/プル型/…)

【解説】掲示板を利用する場合は、プル型になります。

16.FFPでプロジェクト契約を行うため、見積もりを行う。どんな見積もり手法を使う?
(類推/係数/ボトムアップ/三点見積り)

【解説】完全定額契約ということは、仕様が明確であるという点を考えると、ボトムアップ見積もりが妥当だと思います。

17.プロジェクト報告会で先月のSPIが1.2 、今月はSPI が0.7と報告しました。どのツール使っているか?
(差異分析/作業パフォーマンスレビュー/傾向分析/文書分析)

【解説】おそらくスケジュールのコントロールプロセスが該当しています。パフォーマンスレビューは、スケジュールパフォーマンスの測定、比較および分析を行うため、本問題の正解としては【作業パフォーマンスレビュー】が妥当だと思います。

18.仕様変更が想定される開発。契約タイプはどれがいいか?
(FFP/FPIF/CPIF/CPFF)

【解説】仕様変更があるため、実費償還契約であれば正解だと思います。そのため本問題ではCPFFが妥当だと思います。

19.コンフリクト。チーム内で頻繁に言い争う二人がいる。どの対応がいいか?
(撤退/鎮静/強制/問題解決)

【解説】本問題では【問題解決】だと思います。頻繁の程度がわからないため、根本的な解決が必要と思います。

20.プロジェクト憲章を参照してリスクの特定をした。この次何をする?
(リスク対応策を検討する/定量分析を行う/発生確率・影響度マトリックスに追加する/…)

【解説】リスクを特定した後は、リスクの定性的分析になるため、【発生確率・影響度マトリックスに追加する】がよいかと思います。

21.概算で見積もったコストの評価をする。3つの見積を使用して評価する。何を使用するか?(類推/パラメトリック/ボトムアップ/ベータ分布)

【解説】ベータ分布が妥当だと思います。

22.プロジェクトが承認されてすぐ実行した。しばらくして問題が多発。何をし忘れたか。(リスクの特定/リスクの定性的分析/リスクの定量的分析/リスク対応の計画)

【解説】問題が多発生したということから、課題が発生したという事を意味しており、課題とは顕在化した問題です。一方、リスクとは潜在化した問題であり、かつ分析や対応の計画は【特定】ができないと行うことができないため、【リスクの特定】が妥当だと思います。

23.キックオフミーティングを計画している。戦略的な内容は誰が説明するのがいいか。
(顧客/ステークホルダー/PM/スポンサー)

【解説】キックオフミーティングとは、計画プロセス群の最後に、プロジェクトの開始を伝え、全ての人がプロジェクトの詳細(スケジュール、リスク、コミュニケーション計画など)をよく把握することを担保する会議のことです。よって戦略的意義についても、【PM】が発表するという点が妥当だと思います。

24.洪水によりサーバが壊れる危険があたため、別のサーバをもう一台、社外に借りた。どのリスク対策か?
(回避/転嫁/軽減/…)

【解説】軽減は特定したリスクの影響度・発生確率を少なくする方法です。また転嫁とは、特定したリスクを第3者が引き受ける(保険・契約)方法です。【借りた】ということは、支払いが発生しているため、転嫁策です。

25.プロジェクト計画書も完成しプロジェクトを開始する準備が出来た。 PM は次に何をすべきか?
(計画書に沿って実行する/監視コントロール/キックオフ会議/リスク分析)

【解説】計画書完成後、【キックオフ会議】をするのが妥当だと思います。

26.ベンダーの納品物が基準を満たしていない。PMは何をすべきか?
(訴訟の準備/ベンダーと協力し納品物を作る/SOWに基づいてベンダーと会議/何もしない)

【解説】基準を満たしていないのであれば、調達のコントロールプロセスのパフォーマンスレビューが該当します。パフォーマンスレビューの目的は、ベンダーの契約不履行を特定することです。よって【訴訟の準備】が妥当だと思います。p.498

27.重要なメンバーが会社を辞めたため新しいメンバーを追加した。 PM はこの変更をどこに記録すべきか?
(ステークホルダー登録簿/資源マネジメント計画書/プロジェクト憲章/アクティビティリスト)

【解説】本問題は、資源の獲得プロセスに関する問題だと思います。そのため、【ステークホルダー登録簿】が妥当だと思います。 p.335

28.プロジェクトメンバーにプロジェクトに欠かせないスキルが不足していることが分かったが、会社は資金不足のため十分なトレーニングの機会を与えられない。 PMはどうすべきか?
(スキルを持った人が採用されるまで待つ/既存のメンバーにトレーニングをする/個々のコンサルタントを利用する/別のスキルへの置き換えを検討)

【解説】【資金不足のため十分なトレーニングの機会を与えられない】から、選択肢【既存のメンバーにトレーニングをする】は妥当ではありません。チームのマネジメントプロセスに関する問題だと考えた場合、【別のスキルへの置き換えを検討する】という選択肢は、アウトプットの変更要求と捉えることができます。

29.ベンダー作業でスケジュール遅延を防ぐためコスト追加の提案あり。追加すればスケジュールは守られる。
(変更要求/スケジュール守られるので何もしない/…)

【解説】原則、何もしないという選択肢は選ぶことは考え難いため、2つの選択肢であれば、【変更要求】だと思います。

30.要求されている成果物が多数存在し、全てを対応することは不可能であることが明白である。優先度を決めるにはどうするか。
(モンテカルロ分析/感度分析/専門家の判断/デシジョンツリー)

【解説】優先度という点がポイントかと思います。選択肢の並びから考えると、リスクの定量的分析プロセスであるため、【感度分析】が妥当であると思います。p.434 の感度分析には、【項目は相関性が高い順に上から並べられ、典型的なトルネードのように見える】という記述があります。相関性が高いものが、プロジェクトに対する影響が高いため、優先度が高いと捉えることができます。

31.CEOがあなたを社内PMに任命しました。プロジェクト立ち上げ前にプロジェクトメンバーと会議を行う。何をメインに準備するか?
(コスト、スケジュール、スコープ記述/目的、ハイレベル要求事項、マイルストーンスケジュール/詳細なWBS、アクティビティ所要期間見積り/プロジェクトマネジメント計画書)

【解説】本問題では立ち上げ前という記述があるため、【目的、ハイレベル要求事項、マイルストーンスケジュール】が妥当だと思います。

32.プロジェクトが終結し、チーム解散前に教訓発表会を企画し、実施しました。その後何をすべきか?
(実行後のレビュー/解散パーティ/よく定義された手順に従って教訓文書を保管する/ステークホルダーへ文書を送る)

【解説】プロジェクトやフェーズの終結プロセスのアウトプットには、教訓レポジトリの記載があるため、【よく定義された手順に従って教訓文書を保管する】が正しいと思います。

最後に

お気づきかと思いますが、単純な知識を問うような問題ではなく、場面を想定してシチュエーション(状況)を問われる問題が多いです。そのため、問題がPMBoKの49プロセスのどこに該当するのかを瞬時に判断できないと正解が難しくなります。

またダミー問題(採点にカウントされない)も25問あるため、どっちつかずなものがあったら、1分以内に適当に選んで次へ進みましょう。

2択で迷うこともあるため、その場合は選択肢が問に対して、問題解決となっているかで判断するとよいかと思います。

本記事が、試験対策の手助けとなれば幸いです。

フェーズ(工程)と49プロセスについて
PMP PMBoK 第6版を理解する 1.プロジェクトマネジメントの流れ
ビジネスケースやベネフィットマネジメント計画書などについて
PMP PMBoK 第6版を理解する 2.ビジネスケースや組織構造について