PMP PMBoK 第6版を理解する 7.品質マネジメントについて

PMBOK6th-editionPMP

前回の記事はこちら
PMP PMBoK 第6版を理解する 6.コストマネジメントについて

学習目標

・品質マネジメント全体を説明できる。
・品質マネジメントの計画のツールと技法、アウトプットについて説明できる。
・品質のマネジメントと品質のコントロールプロセスの違いについて説明できる。
・品質のマネジメントプロセスの働きやポイントを説明できる。
・品質のコントロールプロセスのツールと技法について説明できる。

8.品質マネジメントの全体

8.品質マネジメントインプットツールと技法アウトプット
8.1品質マネジメントの計画・プロジェクトマネジメント計画書(スコープベースライン)
・プロジェクト文書
・データ分析
・品質コスト
・品質マネジメント計画書
・品質尺度
8.2質のマネジメント・品質マネジメント計画書
・プロジェクト文書
(品質尺度)
・データ分析
・監査
・品質報告書
・変更要求
8.3品質のコントロール・成果物
・プロジェクト文書
・検査
テストとプロダクトの評価
・データ表現
品質コントロールの測定結果
・検証済み成果物
・変更要求

【品質マネジメントは、ステークホルダーの目標に合致するために、プロジェクトとプロダクトの品質要求事項の計画、マネジメント、およびコントロールに関する組織の品質方針を組み込むプロセスからなる】PMBOK®Guidep.271

品質と等級の違い PMBOK®Guide p.274

pmbokはISO9000に沿っています。
品質とは、【本来備わっている特性の集まりが、要求事項を満たす度合】
等級とは、【設計上で意図されるものであり、同一の用途であっても技術的特性が異なる成果物に定められた区分のこと。】

等級:機能がたくさんあれば、等級は高い。
品質:耐用年数、壊れにくい。
・成果物品質:モノ、サービス自体に関わる品質
(バクの検出率など、成果物に関係する品質 等) 

・プロジェクト品質:プロジェクトに関わる品質(作業効率、納期遵守 等)

成果物に関する品質だけでなく、ステークホルダーが求めている予算額で、スケジュール内で成果物を提供することが高品質であることになります。

8.1 品質マネジメントの計画

品質の評価方法を決めて、品質基準を定義します。

インプット

・プロジェクトマネジメント計画書(スコープベースライン)
  プロジェクトスコープ記述書の受入基準を確認します。

・プロジェクト文書(要求事項文書、ステークホルダー登録簿)
  誰の品質要求なのかを確認します。


・組織体の環境要因:国の規制。知的財産権、個人情報保護法、ISMSなどの確認。

・組織のプロセス資産:母体組織の品質方針。

ツールと技法

・費用便益分析:品質要求(ベネフィット)とコストのトレードオフ。
 【その品質活動に要するコストとそれにより期待されるベネフィットを比較する。】

・品質コスト(Cost of Quality)
7.2 コストの見積もりですでに考えられているため、ここでは確認するのみ。
 –予防コスト:欠陥不良を発生させない計画にかけるコスト
 –評価コスト:テストのためにかける予算
 –内部不良コスト:納品する前の予期せぬ欠陥を修正するためのコスト
 –外部不良コスト:納品した後、成果物が要求を満たしていなかったときにかかるコスト

※外部不良はプロジェクト内で持つ予算ではない(一番お金がかかる)
 納品後不良が発生したら、瑕疵期間による保証、リコール、損害賠償

・テスト及び検査計画:成果物を検査する方法を決定します。
※例えば、結合テストや総合(受け入れ)テストをどのように行うかを記載した計画書。

アウトプット

・品質マネジメント計画書
-プロジェクトが使用する品質基準
-プロジェクトの品質目標
-品質に関する役割と責任
-品質レビューを受ける成果物とプロセス
-使用する品質ツール
-不適合、是正処置、継続的改善の手続きなど、プロジェクトに関連する手続き

【顧客満足を目的として、不要なプロセスを特定するために監査の手順を詳しく記載した計画書】
【プロジェクトの品質のコントロール・品質のマネジメントの取り組みを記載した計画書】

・品質尺度(Quality Metrics):品質基準
品質管理対象となる対象物を決定し、その対象物を具体的数値で測定することを記述した測定基準。
時間通りに完了したタスクの割合、欠陥率、コード行当たりのエラー、テスト網羅率の基準としてテスト計画がカバーする要求事項の割合など。

8.2 品質のマネジメント

作業プロセスの改善に焦点を合わせている品質保証以外にも、プロダクトの設計面の改善(DFX)にも関連しているプロセス。
最終プロダクトが標準に従っているかどうかを確認。

作業プロセスの監査をするプロセス。
作業の進め方が、母体組織のやり方に沿っているか。品質保証部、PMOなどがプロジェクトに介入して正しい作業プロセスで作業しているか確認。

インプット

・プロジェクトマネジメント計画書(品質のマネジメント計画書)
・プロジェクト文書(品質尺度、品質コントロールの測定結果・・・実績データ)

ツールと技法

・データ分析
プロセス分析:プロジェクトチームで行います。

 -作業プロセスの改善・・付加価値のないアクティビティを指摘していきます。

監査:正しい作業プロセスで作業が行われているか、第三者(PMO)がチェック。
・design for X:製品の出荷(リリース)、リサイクル、リリースしてから衰退するという一連のフローを元に設計が考えられているかを考えていきます。

デザイン・フォー・エックス(Design for X):極力、後工程において手戻りなどを発生させなくするため、前工程において、製品のライフサイクルの各段階(製品の製造・組み立て、製品の出荷、サービス・保守、製品のリサ イクルなど)を考慮しながら製品設計を行うこと。

アウトプット

・品質報告書
品質期待を達成するために是正処置を行うため、情報をまとめた報告書。
品質マネジメントの課題、プロジェクト・プロダクトの改善などが記述されます。


・テスト・評価文書
品質のコントロールプロセスで利用されるものであり、品質目標の達成を評価する際に利用されます。


・変更要求
母体組織の方針、プロセス、手順等の効果と効率を高めるアクションを取り入れるための変更要求です。

8.3 品質のコントロール

品質のコントロールプロセスとは、プロジェクト内で生成されたアウトプットが、顧客の要求(品質基準)を満たしているのかという点を評価(プロジェクトチーム内での内部評価)するプロセス。テストを行います。

インプット

・成果物(中間成果物を含む)
・プロジェクト文書(品質尺度、テスト・評価文書)

ツールと技法

・検査(レビュー、ウォークスルー)
・テストとプロダクトの評価
・文書の確認
・データ表現
-特性要因図(別名:魚の骨図、石川ダイアグラム)


根本的な原因を追究します。 PMBOK®Guidep.294

 -管理図
生成された成果物が、予測内のパフォーマンスであるかどうかを判断するために用いる方法です。


管理限界線を越えているかまたは、どちらかの管理限界線内に連続して7つの点が発生した場合は正しいプロセスで成果物が出来ていないことになります。

 -ヒストグラム
2つの変数の分布を棒グラフ上で表す方法です。(平均からのバラつきを測る)

 -散布図
2つの変数間の相関関係を調べる方法です。

 (対角線上にプロットした点が集まれば、2 つの数値の関係性が強い。)

アウトプット

・品質コントロールの測定結果・・・評価が終わった結果 →8.2へ
・変更要求
・検証済み成果物(Verified deliverables) →5.5 スコープの妥当性確認プロセスへ

パレート図は品質管理(QC)の7つの基本的な道具の一つである。7つの道具には、ヒストグラム、パレート図、チェック・シート、管理図、特性要因図、グラフ、散布図を含む。

まとめ

  • 品質マネジメントの計画にて費用便益分析を行い、品質コストを確認して、品質マネジメント計画書を作成する。また測定可能な品質尺度(基準)を定める。
  • 品質のマネジメントでは監査を行い、作業プロセスの改善を行う。
  • 品質のコントロールではテスト(内部評価)を行う。
  • 特性要因図、管理図、ヒストグラムなどを用いて成果物の品質を確認して、品質コントロールの測定結果を作成する。
  • 検証済み成果物は、コープの妥当性確認プロセスのインプットになる。

今回は、品質のマネジメントについて見ていきました。
品質マネジメントと品質のコントロールの違いやツール技法について抑えておくことをおすすめいたします。

以上になります。お疲れさまでした!


次回記事
PMP PMBoK 第6版を理解する 8.資源マネジメントについて