前回記事
PMP試験と概要について
1.始めに
この「PMBoK 第6版を理解する」テーマの記事では各記事ごとに学習目標を提示します。その後各学習目標に関するPMBoKの内容の説明を記載していきます。
PMPはプロジェクトマネージャーなら必ず持っていなければならないというわけではありませんが、PMBoKを読み、勉強された方は以下のような考え方をすることができます。
実際のプロジェクトでは、PMBoKで登場する書類や分析ツールを使わないことの方がほとんどかと思いますが、事細かに書類(計画書など)が出てきます。
またPMBoKでは「オリンピック」、「中国の万里の長城」、「アポロ計画」などのスケールが大きいプロジェクトを想定しています。そのため企業でシステムを新規開発するプロジェクトに当てはめたときに、どうしても合わなかったりことがあります。
2.学習目標
✔プロジェクトマネジメントの流れを説明できる。
✔作業パフォーマンスデータ、作業パフォーマンス情報、作業パフォーマンス報告書についてそれぞれ説明できる
3.プロジェクトとは?
プロジェクトとは独自のプロダクト、サービス、所産を創造するために実施する、有期性のある業務であると定義されています。
✔成果物が独自性である。
✔有期性がある。
独自性のある成果物とは、オリジナルな商材、サービス、システム等であり、有期性とは期間が決められていることです。
PMBOK®Guide p.4
4.プロジェクトマネジメントの主な構成
プロジェクトマネジメントとは、プロジェクトの要求事項を満足させるために、知識、スキル、ツール、および技法をプロジェクト活動へ適用することであると定義されています。
プロジェクトマネジメントは以下のことをするのに役立つとされています。(一部抜粋)
・ステークホルダーの期待に応える。
・予測精度を向上させる。
・適切な時期に適切なプロダクトを提供する。
・成功の可能性を高める。
・問題や課題を解決する。
・タイムリーにリスクに対応する。
PMBOK®Guide p.10
プロジェクトはフェーズ(工程)で構成され、そのフェーズは、立ち上げプロセス群、計画プロセス群、実行プロセス群、監視コントロールプロセス群、終結プロセス群の5つのプロセス群で構成にされ、プロセス群の中には49プロセスで構成されています。
PMBOK®Guide p.18
5.プロジェクトマネジメントの流れ
PMBOK®Guide p.25
PMBoKの全体の流れについて、英語でかつ少し長いですが、こちらの動画でわかりやすく解説されています。もし英語に抵抗無い方は見てみると良いかと思います。
こちらを理解されている方は、作業パフォーマンスデータの説明まで飛んで頂いてOKです。
立ち上げ~終結までの5つのプロセス群が、1つの工程(フェーズ)の中にあるという考え方です。
作業内容・範囲、成果物とその品質や納期など自分が気にするポイントがあるかと思います。これを10の知識エリアと呼びます。
5.1立ち上げプロセスの流れ
PMが「4.1プロジェクト憲章の作成」するところから始まります。
PMはビジネス文書を参考に作成して、スポンサー、イニシエターが承認します。
PMBOK®Guide p.81
↓
「13.1ステークホルダーの特定」を行います。
主にステークホルダー登録簿の作成を行います。
ただの一覧表ではなく、格ステークホルダーが寄せる期待が記載されています。
関与度のレベルも確認できます。
PMBOK®Guide p.514
先行割当を受けたメンバーが登録簿を作成します。
既にプロジェクトにアサインされている重要なメンバーがいるはずです。
PMBOK®Guide p.333
5.2計画プロセスの流れ
「4.2プロジェクトマネジメント計画書の作成」でどのように進行するかを記載します。
プロジェクト憲章、ステークホルダー登録簿、要求事項の収集
これらを基に計画書を作成していきます。
「5.2要求事項の収集」
要求事項文書が作成されます。
ステークホルダーのニーズや要求事項を決定して文書にまとめたものになります。
成果物に直接関係あるものとないものが含まれています。
PMBOK®Guide p.147,148
「5.3スコープの定義」
プロジェクトスコープ記述書でスコープ(成果物、受け入れ基準)を定義します。
PMBOK®Guide p.154
「5.4WBSの作成」
アクティビティ(タスク)まで明確にするものではなくてワークパッケージ(WP)レベルまで明確にする。
WPはアクティビティよりも粗いレベル
40〜80hくらいの作業量(1w〜2w)
PMBOK®Guide p.161
「6.2アクティビティの定義」
アクティビティ=タスク
↓
「6.3アクティビティの順序設定」
↓
「9.2アクティビティ資源の見積もり」
↓
「6.4アクティビティ所要期間の見積もり」
「7.2コストの見積もり」
同時並行で行われる。
↓
「6.5スケジュールの作成」
↓
予算の設定〜リスク対応の計画までいったらWBSを改定していく。
↓
PMがWBSを承認したら、ベースラインが設定されます。
5.3実行プロセス 監視・コントロールプロセスの流れ
ベースライン、計画書通りに実行していく。
計画どおりに進んでいるかどうか、監視・コントロールプロセスで行う。
予実の差異を分析して、変更要求(アクションプラン)を提案する。
※統合変更管理で変更要求を承認する。
↓
変更後の作業をプロジェクトの指揮・マネジメントで行う。
成果物ができるまでこれが繰り返される。
↓
「8.3品質のコントロールプロセス」で確認する。
※成果物が品質の基準を満たしているかを評価する
検証済み成果物が生成される
↓
「5.5スコープの妥当性確認プロセス」で受け入れを得る
※成果物が受け入れ基準を満たしているかどうかを確認する
受入済み成果物が生成される
↓
移管(4.7プロジェクトやフェーズの終結プロセス)
納品
まずはこの全体の流れを覚える必要があります。
6.作業パフォーマンスデータ・情報・報告書の違い
PMBOK®Guide p.27
作業パフォーマンスデータ=作業実績そのもの(全実績データ)
イメージとしてはガントチャートで設定した開始日、終了日または実際の開始日と終了日などの生データ
「4.3プロジェクトの指揮・マネジメント」で生成されます。
PMBOK®Guide p.95
作業パフォーマンス情報=格プロセスごとで分析したデータ
イメージとしては、スケジュールならSV(EV-PV)など。
「4.5プロジェクト作業の監視・コントロールプロセス」で集約されます。
作業パフォーマンス報告書=情報を文書化したもの
ステークホルダーへの報告に使用します。
7.まとめ
- プロジェクトは独自性のあるプロダクトを創造する、有期性のある業務である。
- 49プロセスが1のフェーズの中にある
- プロジェクトマネジメントの流れは、5つのプロセス群(49プロセス)立ち上げ〜終結まで
- 立ち上げプロセスにて、プロジェクト憲章をPMが作成する。
- 計画プロセスにて、要求事項を収集してWBSを改定して、計画書を更新する。
- 実行・監視コントロールプロセスにて、計画通りに進んでいるか予実の差異を分析する。
- 統合変更管理で変更要求が承認されると、計画書更新版を元に進める。
- 作業パフォーマンスデータは生データ。
- 作業パフォーマンス情報は予実の差異を分析した実績値
- 作業パフォーマンス報告書は、情報を文書化したもの。
今回はPMBoKの概要部分になりますが、まず全体の流れを抑えて頂ければと思います。
作業パフォーマンスデータと情報の違いを、実際のプロジェクトに当てはめてイメージして頂くとよいかもしれません。
以上となります。お疲れ様でした!